下関オフィスのNさんは、「ここで働く毎日が楽しい」と話してくれました。
在宅就労からスタートし、将来的には一般就労を目指したいという思いを持ちながらも「ずっとA型事業所(就労継続支援A型事業所)にいたい」という気持ちも強く抱いていました。
そんなNさんが、自分の力で外の世界へ踏み出すまでの歩みをご紹介します。
目次
「ここにいたい」気持ちと、就労への本音
Nさんは体調や移動への不安から、在宅就労でスタートしました。
通所を望む気持ちは強かったものの継続した通所は難しく、ご家族と相談のうえでの選択でした。
体調は比較的安定していますが、冷えや食事、環境の変化で腹痛などが起きやすいことを本人・家族ともに理解していました。
それでもNさんは「働くのが楽しい」と前向きで、データ入力や書類作成など経験を活かした事務職を希望し、A型事業所から一般就労へ進む意欲もありました。
一方で、「ここにいたい」という不安も抱えており、働きたい気持ちと安心できる居場所への想いが共存していました。
私たちはその気持ちに寄り添いながら、A型事業所は就職を目指す場であり、就職後も支援が続くことを丁寧に伝えました。
楽しさを力に変えるためのサポート
Nさんは「働くのが楽しい」分、過集中になりやすい傾向がありました。
そこで業務では手順を明確にし、迷いやすい点やイレギュラー対応も整理しました。
また、目標を「件数重視」から「正確性重視」へ変更し、「たくさんやる」から「丁寧に仕上げる」働き方へと支援しました。
コミュニケーション面では、Nさん自身が人と関わりたい気持ちがある一方で課題もあったため、ビデオ通話や訪問時に距離感を確認しながら、ビジネスマナーの向上をサポートしました。
そして「ここが楽しい」という気持ちを尊重しつつ、A型事業所は就職を目指す場であり、就職後も支援が続くことを繰り返し伝え、不安の軽減につなげました。
さらに、関係機関と連携し、入社準備や就労後を見据えた体制づくりも進めていきました。

企業見学会が教えてくれた“次の目標”
転機は、一般就労に向けた準備の中で訪れました。
企業で求められるスキルを踏まえ、グループワークや資料作成力を養うため「成果発表会」への参加を提案しました。
参加したNさんは「自分の言葉で伝える大切さ」に気づき、面接を意識した伝え方を考えるようになりました。
さらに企業見学会にも参加してもらいました。
参加後には「働きたい気持ちが強くなった」と話し、その後すぐに履歴書作成へと行動に移します。
Nさんは「ここにいたい」に加え、「挑戦したい」という想いが芽生えた瞬間でした。
一般就労という新たなスタートへ
Nさんは一般就労で内定を獲得し、入社が決まりました。
通勤は駅直結の動線を確認し、不安の軽減にもつなげています。
関係機関と連携し、就職後の定着支援の体制も整えて「就職して終わりではない」という安心材料の一つです。
また、有給休暇も生活リズムを崩さないよう、計画的な取得を一緒に検討しています。
「ここにいたい」と話していたNさんは、今では「ここで学んだから進める」と言えるようになりました。
A型事業所に残るか、一般就労に進むかで迷う気持ちは自然なものです。
大切なのは、自分のペースで一歩ずつ進むこと。
その伴走を、私たちは続けていきます。

